ウォン美音志との対話(その1) 2008年 11月 21日 後藤 誠 氏ブログにて公開


6月18日に初リーダー作『Inner Journey』 (Satowa Music M001)を出したウォン美音志(24)に話を聞く。1984年生まれの24歳。音楽家(ウォン ウィンツァン)を父に持つ彼が、どういう音楽に影響を受け、どういう遍歴を経て、現在の位置にたどり着いたか、じっくりと語る。
――これまでに参加したアルバムのうち、最初のものはどれですか?
美音志:1997年、親父の『Asian Doll〜香港人形〜』(Satowa STW-7007)です。そこでタイトル曲の「Asian Doll」でアレンジを1曲やりました。その頃から、作曲や編曲をコンピュータを使って行うという作業をやっていました。いつか自分のリーダー作を作ろうという気持ちは、その頃からずっとあって、ようやく今回の『Inner Journey』ができたという感じです。
――いちばん最初に手にした楽器は?
美音志:たぶん、ものごころをつく前に、ピアノを習ったのが最初です。幼稚園の頃かな。親父が教えるより、とりあえず先生についた方がいいということで、当時は親父も結構忙しかったと思うので。あんまり記憶にありません。
――最初に自分で買った楽器とかCDは覚えていますか?
美音志:B'zですね(笑)。シングルCDでした。
――おお、稲葉さん。松本さんだっけ?
美音志:最初はJポップでした。あと「チャゲ&飛鳥」もよく聴きましたね。
――音楽はどうやって聴いていたのですか?ラジオ?映画?
美音志:テレビ番組のタイアップが多かったです。小学3、4年の頃です。2歳年上の従兄が、日本のポップスの番組が好きだったので、よく一緒に見てました。従兄が聴く音楽は僕と共通していて、2歳上でも年の近い兄弟という感覚でつきあっていました。自分でCDを聴きだしたのは小3とか小4、彼が6年生くらいです。やっぱり彼の方がませてましたね。
――映画とかミュージカルとか?
美音志:いや、あまり観てません。その頃の映画で覚えているのは『Back to the Future』かな。今、オーケストラの研究しているので、これも従兄弟が買った『Back to the Future』のサントラを時々聴きます。もうひとつはゲーム・ミュージックです。
――スーパー・ファミコンですか?
美音志:そうです。
――ゲーム音楽というと、ゲームを楽しむ上での単なる効果音で、結構チープで無機質な音楽、しかも「ゲームは脳に悪いんじゃないか」という偏見と先入観を持っている人も少なからずいますよね。ゲームをやりはじめたのは?
美音志:小学生の低学年、いや幼稚園の時かもしれない。
――ゲーム音楽といっても、やっている最中は、音楽を聴かないでゲームに熱中、集中するわけでしょ。
美音志:いわゆるアクションゲーム、点数を稼ぐゲームだと、そうかもしれないですけど、僕が音楽で影響を受けたのはRPGです。物語があって、その中で音楽が流れるわけですね。ただステージをクリアして、進むだけではないですから。これは小学生の高学年の頃です。
あと、歌の入っていない音楽を聴くというシチュエーションが、他になかったのかもしれませんね。映画もあまり観なかったし、一番たくさん聴いたインストゥルメンタル・ミュージックがゲーム音楽だったというわけ。その頃になるとサンプリングも出てきていたり、ゲーム音楽を作る人もより完成度の高いものを目指していたと思います。
――特に影響を受けたゲーム音楽ってありますか?
美音志:『聖剣伝説2』というゲームの音楽を作った、菊田裕樹さんです。
初めて自分の意志で手にしたサントラがこの『聖剣伝説2』でした。
――じゃぁ出発点はゲーム音楽とJポップだ。邦楽に魅力を感じる人って、メロディよりも歌詞の世界に魅力を感じる人が多いのでは?
美音志:僕の場合は、歌詞よりもサウンドです。B'zはギターのサウンドに惹かれたし。
――もともとロック志向なんだ。
美音志:そうかもしれません。
――ロックだったら、ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトン、
ディープ・パープルには行かなかったんですか。
美音志:それらの音楽は、僕が小学生の頃、すでに古典だったんです。
だからロックというよりも、クラシック音楽を聴く感じに近い。当時はやっぱりリアルタイムの音楽に惹かれたんだと思います。
――その辺がだいぶん違うんだよね。
美音志:でも中学生くらいのとき、「王様」という人の日本語直訳ロックなんていうのがはやって、よくコピーしました。それでやっぱりオリジナルも聴いた方がいいかなと。親父からもジェフ・ベックを薦められたし。B'zの松本さんが作った洋楽カバーアルバムもありました。
――最初に手にしたギターは?
美音志:小学5年生の頃です。自分で買ったのではなく、もともと親父が友達から中古のストラトを買ったのです。何でも「ジミヘンをコピーして弾きたい」ということだったらしいです。それがきっかけで、どういう楽器なのかなと触って、これどうやって弾くの?という感じで手探りで。。
――その頃は、ギターがどうやって音が出るか知らないわけでしょ。
美音志:そうです。だからパワーコードとか単音弾きですね。一番最初にコピーしたのはミスチル(Mr.Children)の『everybody goes』という曲のイントロのリフでした。
――ジャズは?
美音志:やっぱりパット・メセニーですね。

――クラシックやワールド系には?
美音志:あんまり聴いていません。もうひとつ影響を受けたのは、アニメのBGMですね。「新世紀エヴァンゲリオン」(音楽:鷺巣詩郎)も観てましたし。『カウボーイビバップ』などアニメ音楽では有名な、菅野よう子さんには特に影響を受けましたね。オーケストラを使ったりいろんなジャンルの音楽を作るので。
(以下次回に続く)